論理的かつ段階的に積み重ねて読む

アメリカ式読書法』の5回目、第5章について紹介します。

第5章 理科系のテキストを読む    『アメリカ式読書法』 ロン フライ著

高度な専門性を持つ理科系のテキストを読む場合には、論理的、組織的、かつ段階的に積み重ねる読み方が必要になります。

また、そのテキストの構成上の工夫を見抜くことも大切です。テキストの流れの基本的筋道を判断できるようになると、著者の思考の流れをつかむことができます。

理科系のテキストをできるだけ深く読むために、以下の5つの項目に着目することでテキストの骨組みを理解します。

  1. 定義と専門用語
  2. 実例
  3. 分類と項目一覧
  4. 対照法
  5. 因果関係

まず最初に行うことは、その分野に特有の用語を理解することです。用語の定義が正確に規定されているからこそ、科学者はそれぞれの専門分野に欠かせない正確さを保持しながら、互いに情報交換ができるのです。

2つ目の伝達手法は実例です。著者は、抽象的な原理と具体的な例証とを結びつけるために実例を用います。実例は、難解で複雑な理論を理解するうえで大きな役割を果たします。科学技術書は新しい馴染みのない考え方にあふれ、その多くはすぐには理解できないので、実例が紹介されていたら細心の注意を払ってください。

3つ目の伝達手法は分類と項目一覧です。分類とは、性質の共通する項目をある題目のもとに類別することです。以下に一つ例を示します。

4つ目の伝達手法は比較法と対照法です。相反する、あるいはよく似た概念を示すことで、複雑な事象の意味をくっきりと際立たせる手法です。比較することで、ある概念をすでに定義されている概念と関連付けられます。対照することで、二つの概念の間にある違いや区別をはっきり示すことができます。両者の違いを際立たせることによって、それぞれの概念の意味を明確にすることができます。

最後の伝達手法は因果関係を示すことです。因果関係の探究が科学の大きな特徴をなすものです。因果関係を記述するにはさまざまな方法があります。まず結果を示しそのあとに原因がくることもあります。結果は互いに関連する一連の原因によってもたされることもあります。一つの原因から複数の結果が導かれることもあります。

以上までが第5章についてです。